会員の紹介

2015年1月掲載

研究の過程というのは、ジグソーパズルを組み立てるのに似た面白さがあります。最後の数ピースを入れていく時の達成感は何者にも代え難いです。



    

テキサス大学 オースティン校
地球物理学研究所
研究員

 奥村 夕子


Q. 学部・大学院での専門

気象学 / 博士 (ハワイ大学)
気候力学 / 修士 (北海道大学)
地球物理 / 学士 (北海道大学)


Q. 過去の研究履歴(略歴など)

アメリカ大気研究センター ポスドク/客員研究員
ハワイ大学国際太平洋研究センター ポスドク研究員


Q. 現在の専門分野(仕事の内容)

気候が数年から数十年の時間スケールで変動する仕組みを、観測データや気候モデルを用いて研究しています。ポスドク時代に古気候研究に少し関わった経験から、珊瑚や鍾乳石など過去の気候指標データを長期気候変動の力学的な研究に役立てる試みも、テキサス大学の古気候研究者と協力して始めています


Q. この分野に入ったきっかけ

子供の頃から空を眺めるのが好きでした。高校で物理学を勉強し、様々な自然現象を物理の基礎法則で説明できたらどんなに面白いだろうと思い、北海道大学地球物理学科に進学しました。 気候研究の道に進んだのは、学部4回生のときに起こった大規模なエルニーニョ現象とそれに伴う異常気象に魅せられたのがきっかけです。


Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ

研究の過程というのは、ジグソーパズルを組み立てるのに似た面白さがあります。何か興味のある現象を見つけたら、まずは大まかな解析をして外枠を固め、より注意深く多角的に仮説を検証しながら少しずつ内側を埋めていきます。論文を書きながら、過去の研究とつなぎ合わせて最後の数ピースを入れていく時の達成感は何者にも代え難いです。


Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)

今のテキサス大学でのポジションは、自由に研究ができる一方、半年分の給与や学生の費用を外部資金からまかなわなければなりません。最初の2年間は、研究費を獲得しなければならないプレッシャーに加え、職場の人間関係で悩み落ち込む日が続きました。辛いときには、とにかく研究で成果を出して居場所を確保するしかないと自分に言い聞かせて頑張りました。


Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味

料理を作ったりお菓子を焼いたりするのが好きです。もうすぐ6歳になる娘の寝顔を見た後、日本のテレビを見たりピアノを弾いたりするのが一日で一番ほっとするひとときです。子供の手が離れたら、休日に読書に耽ることを夢見ています。


Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス

家事や子育ては、夫とそれぞれ得意なことを分担しています。締め切りが迫っているときには、夜間や休日に仕事をすることもありますが、気を抜く時間が少なくなると体調を崩すので、基本的には定時内に集中して片付けます。休日は家事を片付けた後、家族でプールやハイキングに行ったりバーベキューをしたりしてゆっくりと過ごします


Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ

気候変動に興味を持ち大学院に進学したときは、自分が研究者としてやっていく覚悟も自信も全くありませんでした。幸い大学院、ポスドク時代と恩師に恵まれ、研究の楽しさを知ると同時に、これまでに受けた高等教育を、社会や次世代の研究者に還元していかなければならないと感じるようになりました。今年の始めに、娘の通う日本語学校で気象の話をする機会に恵まれたのですが、子供たちのきらきらとした笑顔や娘の誇らしそうな顔を見て、今まで諦めないで本当によかったと思いました。頂上の見えない山でも、少しずつ登ればなんとかなるものです。自分が興味のあることへの気持ちを大切にして下さい。女性が子供を育てながら研究を続けることは一見大変そうですが、それは男性も同じですし、子供から離れて何かに没頭できる時間というのは貴重です。


Q. 民間経験・海外経験

北海道大学での指導教官の転任を機に、ハワイ大学に進学しました。研究生活の殆どを海外で過ごしているので、日本と比べることはできませんが、アメリカでは研究者が研究に専念できるように、コンピューターや広報、事務等のサポート体制が整っているように思います。また、研究資金さえ獲得できれば、若い研究者でも独立して研究することが可能です。生活環境に関しては、日本よりも一般的にサービスの質が低く、交渉が必要になることがよくありますが、そのおかげで英語力も度胸もつき、多少のことでは動じなくなりました。アメリカは本当に様々な文化的背景を持つ人が集まっていて、世界は狭いなと感じさせられます。

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