会員の紹介

2016年4月掲載

わからないことはいくらでもありますが、自分の理解が少しずつ進んでいくことは日々の楽しみ



    

東京大学大気海洋研究所教授

新野 宏


Q. 学部・大学院での専門

気象学/理学博士(東京大学)


Q. 過去の研究履歴(略歴など)

東京大学大学院理学系研究科地球物理学専門課程博士課程単位取得中退
気象庁気象研究所物理気象研究部 研究官/主任研究官: 気流に関する実験的研究
東京大学海洋研究所海洋気象部門 助教授・教授: 気象学・地球流体力学
東京大学大気海洋研究所海洋大気力学分野 教授: 気象学・地球流体力学


Q. 現在の専門分野(仕事の内容)

大気や海洋などの地球流体の流れに見られる対流や渦・不安定現象・乱流などの基礎的過程と、大気のメソスケール・マイクロスケール現象や大気境界層のメカニズムを調べる研究を進めてきました。 最近は、管理的な仕事に時間を取られており、自分自身で手を動かすことはほとんどできていませんが、大学院生や研究者仲間の皆さんと以下のような課題を研究しています。
・温帯低気圧、台風、ポーラーロウ・ポーラーメソサイクロン、梅雨前線低気圧などの多様な低気圧
・竜巻と竜巻を起こす巨大雷雲(スーパーセル)など積乱雲に伴う諸現象
・地表面近くの大気(大気境界層)の乱流や塵旋風などの渦
・海陸風などの水平対流、二重拡散対流
・室内実験や理論による渦や対流・不安定現象の研究


Q. この分野に入ったきっかけ

高校まで神戸で過ごしましたが、子供の頃、伊勢湾台風や第2室戸台風、昭和42年7月豪雨の災害を経験して、天気予報が良く当たるようにしたいと思い、気象の研究を志しました。


Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ

大学教員の魅力は、毎年、新しい個性を持った若者が入学・進学してきて、それぞれの興味に基づく新鮮な研究をし、成長して卒業していく過程を観察でき、また、共に議論し、刺激を受け、勉強させられて自分自身の「大気の理解」も進むことです。 わからないことはいくらでもありますが、自分の理解が少しずつ進んでいくことは日々の楽しみです。


Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)

米国東海岸のWoods Hole海洋研究所での10週間の「地球流体力学夏期研究プログラム」(奨学金付き)に参加したとき、期間中に新しい研究テーマを見つけ、研究レポートを書き上げることが求められており、絶えず期限のプレッシャーを受けながら寝ても覚めても研究をせざるを得なかったときは、辛く感じました。 幸い、土壇場で良いアイデアが出て、無事レポートを書き上げ、後に投稿論文に仕上げることができたのですが、夜寝ていても目が開くくらいに突き詰めて考え続ければ、ある程度の課題は解決できるものだという感触を得る貴重な経験となりました(単に運が良かっただけかも知れませんが・・)。 今から思い出すとなつかしい思い出です。


Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味

音楽が好きでピアノを弾いたり、CDを聴いたり、昔は時間を見つけて作曲もしていました。 昼休みのサッカーやテニスは、仕事の集中力を高める上でも、分野や職種の異なる多くの人たちと交流を深める上でも貴重な時間となっています。


Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス

共働きなので、家事や子育てはできるだけ分担するようにし、若い頃は休日はできるだけ子供たちと一緒に遊んで過ごしました。 最近は、子供が付き合ってくれなくなったのと、平日はなかなか自分な好きな仕事ができないので、土日に自分のやりたい仕事をするようになってしまっています。


Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ

気象学・大気科学は対象とする課題が局所的な現象から全球的な現象まで非常に沢山あるので、各自の多様な個性を生かしながら、また自然との対話をじっくりと楽しみながら研究できる魅力的な分野だと思います。 基礎的研究の成果が、天気予報の向上や災害の緩和など社会の役に立つという喜びもあります。 また、大気に国境は無いので、全球的な視点が自然と身に着きます。 是非、気象学・大気科学の世界に進み、その魅力を体感していただければと思います。 研究者を志す方には、「一生をかけて解決したい課題」を心に秘めて取り組んでいただければと思います。


Q. 民間経験・海外経験

博士課程の途中で1年間米国中西部のパデュー大学の大学院に留学、気象研究所に勤めてからは米国のWoods Hole海洋研究所で10週間、英国のケンブリッジ大学で1年間研究した経験があります。 それぞれ違う立場で滞在したので、一概に比較することはできませんが、多くの新しい知り合いを作り、国それぞれの生活や考え方を知ることは、研究だけではなく、人生も豊かにすることができると思うので、是非、皆さんも積極的に海外での生活を経験されると良いと思います。

Q. もっと知りたい

http://dpo.aori.u-tokyo.ac.jp/dmmg/people/niino/papers.htm

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