会員の紹介

2014年4月掲載

他人には無い自分だけの長所に気づき、それを磨き、周りの人に認識してもらうこと



    

防災科学技術研究所
観測・予測研究領域
水・土砂防災研究ユニット
主任研究員

前坂 剛


Q. 学部・大学院での専門

気象学/博士(理学)(北海道大学)


Q. 過去の研究履歴(略歴など)

北海道大学(修士・博士課程)および名古屋大学(もぐりの研究生,学振特別研究員): 中国大陸上の梅雨期の降水システムに関する研究

トロント大学(ポスドク): 冬期五大湖における降雪システムの数値シミュレーション


Q. 現在の専門分野(仕事の内容)

一言でまとめれば「気象レーダー等を用い気象災害(豪雨,強風・突風,落雷,降雹等)の監視・予測に関する研究」です.
大学院時代から気象レーダーを用いてメソスケール降水システムの解析を行ってきたご縁で,防災科学技術研究所(以下,防災科研)で働き始めました.当時(2005年),防災科研ではXバンドマルチパラメータ(MP)レーダーを用いた量的降水量推定の研究が進められており,在来型レーダーよりも高精度に降雨強度を推定できる手法,および気象レーダーをネットワーク化する研究に関わってきました.これらの手法は国土交通省の現業レーダー雨量観測(XRAIN)に採用され,実用化されています.
現在の研究は気象災害の監視から予測にシフトしており,積乱雲の発生前・発生初期を観測できる機器(マイクロ波放射計,ドップラーライダー,雲レーダー)を用いた極端気象の直前予測を目指しています.


Q. この分野に入ったきっかけ

物理学的な考え方を応用できる研究的な仕事に就きたいと思っていました.そしていつの間にか気象学を選んでいました.そこに至るまでの過程がよく思い出せません.なんていい加減な人生設計...



Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ

自分の開発した手法・アルゴリズムが現業システムに実装され,社会生活を陰ながら支えていること


Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)

観測的研究は観測器が整備され,それが問題なく稼働してから初めてデータの取得・解析が可能になります.そのため,実際に研究らしいことが始まる前に膨大な労力(予算獲得,機器仕様の作成,関係機関との調整,機器設置,保守,修理...書いているだけで嫌になります)が必要になります.
そのような雑務に忙殺され,研究成果が出ない状態が続くと自己嫌悪に陥ります.
自分たちの立てた観測計画の意義を再確認し,将来の観測成果を信じて乗り切ります.


Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味

聖地巡礼(国土交通省XバンドMPレーダー35台をコンプリート).
決して生活に必要のない物の衝動買い(ガラクタに囲まれた生活).
12歳と258ヶ月の手習いで始めたギター(なかなか上達しません).


Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス

仕事のためにプライベートを犠牲にする自分がここにいます.
仕事が無くなったらどうするんだろう


Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ

修士課程1年目の終わり頃(1999年),就職か進学かに悩み激ヤセしました(誰も気がつきませんでしたが,人知れず20 kg!).
当時,その年の7月に人類が滅亡するというノストラダムスの予言というものがはやっており,「どうせ就職活動を始めても7月で人類は滅亡するのだから無駄になる.」と考えて進学を選択しました.もちろん,本気でそう考えた訳ではなく,進学を選択した自分を正当化するための詭弁です.進学はそれくらいの一大決心でした.
就職するにせよ進学するにせよ,自分の将来は努力だけではなく,運(たとえば,自分の希望するポストに空きがあるかなど)に大きく左右されるという現実があります.このあたりが悩みの源泉だと思うのですが,実は運というものは努力にある程度依存しており(ただし,空回りしない努力に限る),自分で変えることができるものだと思います.
そのためには他人には無い自分だけの長所に気づき,それを磨き,周りの人に認識してもらうことが重要なのだと老婆心ながら思う今日この頃です.


Q. 民間経験・海外経験

名古屋大学で学振のポスドクを経験したあと,トロント大学でポスドクの機会を得ました.
日本にいたころは夜型人間で,毎日深夜まで大学にいましたが,トロントで夜遅くまで大学に残っているのは自分だけでした.
大学院生でも社会人経験があったり既婚者が多かったりと,日本の大学院生の構成に比べてバラエティがあったせいもありますが,日本の大学を出たばかりの自分には,彼らは家に帰って何をやっているのだろうと不思議に思いました.


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